飼主様の多くはペットの口腔内におけるケアが十分ではありません。その証拠に歯石が多数付着し、それが原因で歯肉炎などの歯周病を発症しているケースが多く見受けられます。歯周病の放置は、細菌感染の放置であり、局所の問題だけではなく全身的な各臓器の問題へと発展している症例もあります。超音波スケーラーを使用して歯周ポケットをも含む歯石除去を実施したのちに、歯磨きやガムなど歯周予防に取り組むことをお勧めしております。
このような症状がある場合、歯周病が疑われます。一度ご相談ください。
歯周病とは、口の中を汚れた状態のまま放置した結果歯垢や歯石がたまり、そこから細菌が繁殖し、歯茎が炎症を起こす病気です。
そのまま放置するとやがては歯周組織にまで炎症が広がり、歯が抜け落ちたり、細菌感染によって内臓疾患が起きたりする危険性があります。
歯周病の炎症が歯の根っこである「根尖」の周囲まで及ぶと、その周辺の骨が溶け、「瘻管」と呼ばれるトンネルができてしまうことがあります。
「外歯瘻」と言われ、目の下などの皮膚に穴が開き出血や排膿が見られたりします。
皮膚だけではなく鼻と口を隔てる骨が溶けてしまい、瘻管の出口が鼻の中に出来てしまう所謂「口腔鼻腔瘻」が形成されると、クシャミや鼻水、鼻出血などを発症します。
小型犬の場合、下顎骨に比べ歯のサイズが大きいため歯根部が顎骨のラインとほぼ同位置にあり、重度の歯周病では下顎骨が融解し、硬い物を噛んだり、わずかな衝撃だけでも骨折する例があります。
歯肉炎部位からの細菌感染により、心臓・肝臓・腎臓など様々な内臓への全身性疾患のリスクがあります。
動物のなかでも、特に犬の場合は歯周病になりやすいと言われており、3歳以上の成犬のうち約80%が歯周病に罹っているという報告もあります。
歯周病は治りにくい病気ですので、何と言っても予防が大切です。ドッグフードなどの食べかすが口腔内に残らないようケアをしてあげましょう。
当院では、歯周病予防のための対策として、飼い主様への歯のブラッシング指導や、定期的な歯石除去をおすすめしております。歯周病に罹ってしまった場合は、まず検査を行い適切な治療計画を立てたうえで、改善するよう努めていきます。
歯周病を予防するためにまず大切なことは、飼い主様がお口の中をこまめにケアしてあげることです。
歯を急に触ると嫌がって抵抗するワンちゃんが多いので、子犬のときから口の中に手を入れたり、歯磨きをする習慣をつけておきましょう。
当院では、歯周病予防のため、定期的な歯石除去を推奨しております。
すでに歯周病になっている場合は、歯肉の状態を調べるための検査や歯のレントゲン検査を行い、病気の進行具合を確認した後、本格的な治療を開始します。
歯周病が重症化すると、場合によっては抜歯を行う必要が出てきます。
ワンちゃんの大切な歯を守るためには、ご自宅や病院で定期的なケアを行い、口腔内を常に清潔な状態に保ちましょう。